京都塗料商業協同組合

刷毛編 -その2-

 「刷毛」の続編です。
今回は、刷毛の材料に触れてみようと思います。

 刷毛にとっていちばん大切なのは毛といえるでしょう。当初、刷毛の材料は食物繊維(きびの毛、麻、藁みご、棕呂の毛など)で作られていました。今は動物(獣毛)の毛を混ぜ合わせて作られています。

 主に使用される毛の種類は、馬毛、山羊毛、羊毛、豚毛、化繊です。各々の特徴を説明しましょう。

 まず、馬毛は耐水性、弾力性に優れまとまりが良いのが特長です。色は黒、赤が主です。馬毛は尾毛、振毛、胴毛、足毛の四種類に別れています。産地は、アメリカ,メキシコ、カナダ、ヨーロッパなどです。

 次に山羊毛は、毛が細くそして柔らかく、使い出しの良さが特長です。白毛の高級品です。ヤンス(アゴ髭)ヤオン(尾毛)などがあります。主な産地は中国です。次に羊毛は馬毛に次いで需要が多くなっています。塗料の含みがよく、毛質は柔らかいが適度な弾力があり、ラッカー刷毛などに使われています。またラック、水性、糊刷毛などにも使用されています。
色は白毛で主な産地は中国です。四番目に豚毛は、太く弾力性がありまた毛先が割れているので高粘度塗料用に使用されます。コッピー、ダスター刷毛に多く使われています。主な産地は中国、ヨーロッパです。

 最後に、化繊(ナイロン)毛は獣毛に比べ耐摩耗性が優れ水性塗料向けとして多用途に使われています。今後、需要は高くなると思われます。またプロ用語では「ベラ」と呼ばれている刷毛があります。これは人毛を使用している刷毛で、太くて腰が強く漆刷毛として使われています。

 柄の材料としては、古くは板状のものを取り付けて使われていました。その後、手先が器用で手工具の巧みな人達により、今の形状となるよう工夫されました。

 木材は、木地に気品がある桧材が主としてと使われていましたが、現在では高級刷毛以外は輸入材(桧、松、ブナ)などが多く使われています。このように刷毛の材料は、用途を考えて使い分けられています。新しい塗料の開発と共に刷毛の材料も変化しています。高級刷毛は、高価なため使用が減り安価な刷毛が多く使用されるようになりました。

 原毛が世界的に減少の傾向にあることから考えると、今後は化学繊維などの新しい材料の開発が期待されます。

寸筒刷毛 (写真をクリックすると大きく表示されます。)